精細な忌諱に赤い湿気は微睡む
家老が麦の噴く命乞いの染みを摘み隠す時
日の囮に噛み砕く米の芯の気怠くおれは
気を結び ありもしない銜え煙草に火の粉を塗す毒で糺せ部屋の軌道が遠心で削がれ
すべての色が真実を燻し漉し尽くすまで
襤褸切れの肌の破傷風に浮かぶ昨夜の美しい跡形は
女たちの知りたくもなかったあのすべてのやさしさに
ほほえみひとみを課す
そのくちびるに熔けてしまうまえに去りしやさしさに
インクが咳き込み白紙に身を投げ売れば
どうだ
忘れてしまうことだけを忘れられずに暴れる息の値を査定しろ
夜通し見境いなく闇の格子に刻まれた劣勢の迸り
男でいられる一瞬に
ついに隙間風に凝固するその塵の疾駆を
痩せた朝日にたらふく翳せ
光に浮かぶ起き出した街を見過ごして
瞼を閉じろ
お前以外のすべてが目覚めるその朝に