もよおす言語錯乱が内部の女に語りかけようとするときおれはそいつの胸ぐらを掴んで絞める、血管から血が蒸発するようにおれから精製されたそいつは無鉄砲に散弾してゆく、視線を体外に向けろ、乗っ取りの視線は眼球の裏を凝視するから、眼球が肉体が裏返るのは裏切りの祝杯に滴る鞘の空洞だ、おれはおれを見るのか、外見の喪失の痕には裸の臓器を取り囲む霧状の精神がぶちまけていた、それらを空を拳で砕いた塊で強打するのに、なぜ、おまえは押し黙って咳ですべてを塞いでしまう、分断した生存を崩壊の寸前でかためてだましてる、視線を体外に向けろ、誰かを見つめろ、美しいものに焦がれろ、ずっと穏やかに、眼球を裏返すな、肉体を捨てろ、空を見上げろ、血の蒸発をほっておけ、このおれをほっておけ、放り出せ、おれを大事にするな、おれ以外のなにかを強く掴め、ああ、誰かを愛せ、このぐらつきに気づかない程に、おのれを忘れる程に、その時、おれは何者でもなくなり、はじめて打ち上げられた命で瞬きをするだろう、さかりのついたかおもじみたいな喋り方で騒ぎ立てた若い女の臭みはそれでもおれのうえに君臨してゆく、