言語錯乱ってのは言語が膀胱に溜まってそれを漏らすみたいに意地汚い、おれは言葉を漏らしちまう、言葉を救えなかった、いつもだ、いつも、いつも、おれはただ、路上の強ばりを汚しやがて言葉に近づくなと送籍されるんだ、なぜだ、俺ばかりがこんなに美しくもない生理現象に言葉を吐き出す事でしか、物事を、自身を、彼女を、ああ、彼女を、世界を、見つめる事ができないんだ、錯乱の糸の神経図が這い巡って、彼女の肌にまで言葉をさがしはじめるとき、彼女の肌を掘削するとき、おれは、おれの手を離れていった言葉たちが君に乱暴をしているのを黙って見過ごすんだ、なにもできずに、なにも、なにも、
おまえの肌から言葉をもぎとって、おれは小銭にしようとたくらんじまう、
段ボールを積む代わりに、土を運ぶ代わりに、
おまえのあの美しい髪の紅く壮んな決死を、言葉にしちまえば、惨くおまえを不詳にとられてしまうというのに、おれはこんな暖かな米におまえを代えて、食らってしまおうと願いだしてる、おまえを、おまえに実る言葉をもぎとって、おれは小銭にしてしまうんだ、いつか、いつか、そこまで落ちぶれてしまうんだ、値札をつけた魂になにが言える、なにもない、なにもない、もうなにも、言葉が何よりも純粋な脈でおれと君を唯一結んでくれたあの頃、おれは言葉だけがくちづけだと信じる試みなく信じていたんだ、ああ、ああ、ならば、おれは死の絶叫で、君の産声をよもう、一口のために、君の肌から盗んだあのあの大事な言葉をおれは売りたくなっちまったんだ、